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識別力のない商標とは


商標が実際に登録できるかどうか、不安に思っている方は多いです。この記事では、識別力のない商標の主なケースを解説します。

■識別力とは?

識別力のない商標は登録できないとされています。
商標とは、一般的には、自己の商品・役務(サービス)と他事業者の商品・役務を「識別」するために使用するためのものです。
そのため、識別ができない文字やロゴなどは識別力がないとされ、登録ができません。
わかりやすく例えると・・・
商標とは、同じような商品があったときに、それらの区別をつけるための目印です。
例えば薬局に行き、歯磨き粉を買おうとするとします。 歯磨き粉の成分の違いはわからなくても、消費者はブランド名やロゴで区別をつけ、自分の買いたい歯磨き粉を選びます。 このときの区別をつけるための目印(ブランド名やロゴ)が商標です。
そのため、例えば「tooth paste」という言葉を歯磨き粉の商標として登録しようとしても、登録できません。 単に歯磨き粉という商品の内容をそのまま表しており、他の口内環境を整える用途の他社商品と区別をつける力がないからです。
このような他社商品と区別をつける力のない商標を「識別力がない」と言います。

1.普通名称

例えば、商品「時計」について、「時計」という普通名称を付けることや、商品「さんぴん茶」について、「さんぴん茶」という商標を付けることは、当該商品と他の商品を識別する役割を果たさないため、商標登録ができません。ある時計に、「時計」という商標が付いていたとしても、それだけでは、他の時計とその時計を区別する機能を果たさないということです。
また、商品「スマートフォン」について、「スマホ」という商標を付けることも、「スマホ」はスマートフォンを表す普通名称であり、他の商品と識別する機能を果たさないため、商標登録することができません。
※固有名詞をつけたり、消費者が商品を見て混同することのないユニークなネーミングにすることで回避できる場合がございます。

2.産地・販売地・品質・原材料+商品(サービス)名

産地・販売地等については、そもそも他の商品と識別することができず(識別力がなく)、また、これらの事項については、各事業者が自由に使用すべきものであり、特定人に独占させるべきでないため、原則として登録ができません。ただし、「産地+商品名」として商標登録する場合、その商品(サービス)名に識別力がある場合には、登録できる可能性があります。
例1 紅いもタルト
「紅いもタルト」という商品名で考えてみると、全体として、「紅いもを使用したタルト」という原材料または品質を表示したにすぎず、識別力を欠くことになります。つまり、これだけでは、他の商品と区別する機能を果たさないということです。
例2 MBA ENGLISH
「MBA ENGLISH」という語学に関するサービス名を考えると、これは、MBA(経営修士)の取得・活用のために有用な英語サービス等を提供するというサービスの質(内容)を表したものにすぎず、識別力を欠くことになります。
例3 本生
指定商品をビール風味の発砲酒として、「本生」を商標出願しようと考えた場合、「本生」はビールや日本酒の種類等の分野においては、「加熱殺菌していない本格的なもの」という意味合いで認識使用されているから、「本生」を「熱処理していないビール風味の麦芽発泡酒」に使用しても、単に商品の品質を表示したにすぎず、識別力がないとされています。
※こちらも固有名詞をつけるなど、その態様によっては認められる場合もあります。

3.ありふれた氏又は名称のみを表示する商標

例えば、「山田」といった全国に多数存在するような氏は、識別力を有しないため、登録ができません。ただし、「氏」に識別力がなくても、多くの場合、「氏名」には識別力があるとされます。

4.きわめて簡単で、かつ、ありふれた商標

きわめて簡単で、かつ、ありふれたものについては、識別力がなく、かつ、このようなものについては、一般的に使用され、特定人に独占させるべきものでないため、商標登録ができません。
例 文字:仮名文字1字、ローマ字1字又は2字からなるもの、数字等の文字
例 図形及び立体的形状:1本の直線、波線
 

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最終更新日: 2023/6/1