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雑貨に関する区分(35類等)

ここでは、「雑貨」に関する区分の考え方について解説します。

1️⃣「雑貨」とは

「雑貨」とは生活に用いられる多種多様な品物のことで、さまざまな分野にまたがる商品群です。 商標の区分の選定にあたっては、具体的に商品の種類や用途などを特定することが必要ですが、雑貨は商品の内容が曖昧であるため、そのまま登録することはできません。
 
ご自身が雑貨という名目で、どのような品物を扱うのかを明確にする必要があります。
 
また、一般的に雑貨店では、取り扱う商品の種類が非常に多岐にわたるため、多くの区分にまたがって商標権を取得するケースがあります。
 
しかし、多区分での出願は、予算と合わないなど費用の面でネックになることもあり、どの区分を優先して権利化するかなどで取捨選択の検討をしなければならないなど、注意が必要です。
 
つまり、雑貨に関わるブランドや屋号を法的に保護するためには、販売形態に合わせて適切な区分を選ぶ必要があります。
雑貨を取り扱う際の区分は、大きく「オリジナル商品」と「小売」の二つに分けることができます。
 
まずは、扱う商品について「”オリジナル商品”か”小売”」という観点の分け方を考えてみましょう。
 
 

2️⃣ 「オリジナル商品」を選ぶときの区分は?

「オリジナル商品」とは、自社で企画・製造した商品、または、自社ブランド名義で販売するために外部(OEMなど)に製造を委託した商品のことです。
 
オリジナル商品を販売する際は、その商品の種類(材質や用途)によって適切な商品区分が変わってきます
代表的な区分は以下の表のとおりです。
区分(類)商品の例
14類キーホルダー、宝飾品、時計など
16類文房具、紙製品、印刷物、ノートなど
18類鞄、ポーチ、傘、財布、革製品など
20類クッション、写真立て、家具、鏡など
21類食器、コップ、調理器具、化粧用具など
24類タオル、布地、寝具、テーブルリネンなど
25類アパレル(衣類)、靴、帽子など
29類肉製品、食用魚介類、加工食品など
30類コーヒー、茶、菓子、パン、穀物加工品(パスタ)など
例えば、コンビニチェーンのセブンイレブンの事業の一つである「セブンプレミアム」のような、自社製造またはOEM取引によるオリジナル食品は、上記の商品区分29類、30類で登録されています。
▼セブンプレミアム(登録第5402495号) https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/TR/JP-2010-061739/40/ja
 
また、「無印良品」のように衣料品から食品、家具、文房具などと、幅広いオリジナル商品を企画・販売しているブランドは、上記で挙げた商品区分の多く(例:16類、20類、25類、29類、30類など)を登録されています。
 
 

3️⃣ 「小売」を選ぶときの区分は?

「小売」とは一般的に生産者や卸売業者から仕入れた商品やサービスを、加工せずにそのまま最終消費者(一般の個人や家庭)に販売する事業形態を指します。
 
しかし、商標で考える小売は接客サービスや広告による情報提供なども含めた仕入れたものを売る場所としてのサービスまで指します。
 
「小売」をお考えの場合は、35類に該当します。 35類(小売等役務)は商品の小売又は卸売の業務など、「販売行為」というサービス自体を保護するための区分です。
例えば、食料品や飲料水、雑誌などを他社から仕入れている「セブンイレブン」のようなコンビニエンスストア小売店では35類で商標登録を行なっています。
▼セブンイレブン(登録第号) https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/TR/JP-2022-020350/40/ja
 
35類の「小売」のうち2つ以上の項目を出願する場合
35類の「小売」のうち2つ以上の項目を出願する場合は、特許庁から使用証明が求められます。 使用証明とは区分で選択したサービスをしているかどうかの確認を行うためのものです。
出願した後に特許庁から使用証明を求められ、証明が不十分な場合は、特許庁の審査がスムーズに通過できないことがあります。
 
使用証明の対応には、
[商標の使用に関する書類作成: 22,000円(税込)]の費用がかかります。
お申し込みの際は基本料金とは別に上記の費用が出願途中で発生いたしますことをあらかじめご了承いただけますと幸いです。
よろしければ以下の記事もご参照ください。 ▼使用証明とは https://support.cotobox.com/insted-use
 
 

4️⃣ 「オリジナル商品」と「小売」の区分はどちらもとったほうがいいのか?

商標登録の出願数と費用は区分数に応じて増加しますが、前述した「セブンイレブン」の事例のように両方取得することをお勧めします。
 
実際にどのような場合両方取得した方がいいか、または小売のみでいいか記載しましたのでご参考にしてください。
  • 両方取得が推奨される場合
    • OEM取引で他者に製造を委託し、自社ブランドとして販売する。 この場合、商品の種類に応じた商品区分と、販売サービスを保護する35類の両方が必要となります。
    • 現在は小売のみだが、将来的に一つでもオリジナル商品を開発・展開する可能性がある。
  • 小売(35類)のみで十分な場合
    • 現在、他社製品のみを仕入れて販売しており、将来も自社でオリジナル商品を展開する予定が一切ない。
 
なお、万が一区分の選択を間違った場合でも、提携弁理士による修正の機会がありますので、ご安心ください。